スパダリな夫はケダモノな本性を隠せない
 だが、あまりに深く激しい口づけにより、凪沙の息は荒れる一方だ。

 二人がベッドに入ったのは、すでに二時間前。その間、ずっと悠真によって愛され続けている。
 凪沙の身体と思考はトロトロに蕩けてしまっていて、うまく動かすことができない状態だ。

 限界が近く肩で息をする凪沙を見ても、彼は愛撫の手を止めない。
 その熱くて大きい彼の手は、何度も身体をまさぐっては凪沙が達するまでは動かし続けるのだ。

「もう、だめだってばぁ。悠真くん」

 耳を塞ぎたくなるほど甘ったるい声が出る。
 恥ずかしくてたまらないのに、悠真は嬉しそうに口角を上げるのみ。
 今夜、何度目かわからない熱を発散させようと、身体を絡ませ合って睦み合う。

 お互いの熱が飛び散り、ようやく凪沙の身体はタオルケットに包まれた。疲労困憊だ。
 悠真は、タオルケットごと凪沙を抱きしめてきて耳元で囁く。
 
「愛しているよ、凪沙」
「……私も、愛して――」

 愛している、と返したかったのに、その声は疲れ切った凪沙の口から発されることはなかった。
 凪沙、おやすみ。彼の甘ったるい囁きを聞きながら、意識を手放した。



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