片想いをしていたエリート同期がお見合い相手でした。
六月上旬、毎日のように雨が降っている梅雨。今日も雨が降っていて外を見ながら憂鬱に感じていた時、スマホが鳴った。
「――もしもし。お父さん、元気?」
「あぁ、元気だよ。会社の方はもう茉央がやってくれてるから隠居生活満喫中」
あははと笑いながら言うお父さんは本当に元気なのが声から感じられる。
「それはよかったけど、お兄ちゃんも元気?」
「茉央も元気だ、今じゃ社長だからな〜頑張ってるよ」
「そうなんだ、よかった」
私の実家、醍醐家は代々製茶を生業にしている会社で『醍醐製茶』という会社を兄が社長、父が会長として経営している。私はそこの令嬢でもある。