手を伸ばせば、瑠璃色の月
地に足をつけ、小走りに窓際まで近付いて下を覗く。

私の部屋は2階にあるから、運動神経の良い人であれば侵入出来ない事はないかもしれないけれど、それでも。


「いやいやいや、有り得ない」


両手を頬に当てた私は、ずるずるとその場にしゃがみ込んだ。


「あれは、夢じゃなかった…?」


もしかして、あの人は現実に存在していたのだろうか。

私はもしや、本当に部屋に忍び込んできた泥棒に向かって話し掛けていたのだろうか。

そっと目線をあげれば、アクセサリーボックスの中に、あの日彼が盗んだはずのネックレスが掛けられているのが見えた。


「嘘…」


疑問が疑問を呼ぶ状況の中、確固たる証拠を見つけてしまった私は思わず天を仰いだ。


夢だと思っていた事が夢ではなかったかもしれないだなんて、これは果たしてどうしたらいいの。

驚きとショックで、その場から動けない。



…だけど、私が立てた仮説はあくまで予測であって、確証なんてないわけで。

どちらにせよ、有明の月の日に泥棒さんは現れるんだ。


「…よし」


こうなったら、やるべき事は一つしかない。

自分の立てた仮説の正誤を確かめる方法を思いついた私は、自分を勇気つけるかのように小さく頷いた。


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