マーメイド・セレナーデ

想像も付かない理由

会えない時間よりも先にある連休とある言葉が嬉しくて一人で家にいるときも淋しさをあまり感じなくなった、何をしたいか、何を見たいか、考えるだけで時間が足りない気がした。


服を一式揃えようか、お上りさんみたいだけど観光マップを買うのも悪くないかも知れないわ。
翔太だって、出張で行くばかりでそのデートスポットなんて知らないだろうし。


一人では広く感じる部屋だって、今のあたしにはどうってことのないくらい。
寂しくなればカレンダーを見れば落ちた気持ちも簡単に浮上する。
カレンダーには24、25は赤で囲まれている。東京と小さく書かれた文字は翔太のもの。

翔太だってその日を待ち望んでいてくれるって、わかるから。


けれど、それまではほぼ出張続きで矢印がのびている。
矢印が伸びている間は、翔太には会えない。わかっているけれど、浮上した気持ちも、その事実にまた落ちてしまう。


本当なら東京でのホテル暮らしで1ヶ月間の出張にするはずだったのがちょこちょこ行き来することで顔を会わす時間を増やした、と聞いたのは昨日偶然会った牧さんから。
< 150 / 302 >

この作品をシェア

pagetop