マーメイド・セレナーデ
「翔太、帰ろ」
一瞬、教室に緊張が走る。
真知が、俺の名前を呼んだから。
真知の声は、よく通る。ざわめきなんて気にならないくらいに、響いて俺の耳に届くから。
そわそわし始めた教室の方々ににいるクラスメイトを見て、ガキくせぇなって思う。
高2にもなって、独占欲?気に入らないから、陰口?イジメ?
俺が原因で引き起こすことは重々承知。
うまく、立ち回って真知に火の粉が降りかからないようになってはいるものの。
「ロッカーに寄ってからな」
「うん、」
この二言三言の会話だけでも隠し切れないと殺意に近い嫉妬が届く。
もうちょっと外面だけでもいい顔してくれれば、表面だけでも相手してやったのに。
我が物顔で近付いてきた奴には手痛い仕返しをしてやった。
――それを知られるのが恥ずかしいのか、悔しいのか、はたまた認めたくないのか、わからないけど、何もなかったように振る舞っている。まぁ、俺は相手にもしてないから1人空回ってるようなもんだけど。
それにしても無邪気なもんだな、真知も。
そんな視線にも気付いていないのか、それとも気付かない振りをしてるのか。
どっちにしたって、いい。俺が悩むことではない。
今の俺の目下の悩みは、進路調査。
真知だって、同じもの配られてはずだ。
どう思っただろうか、今後のこと。将来のこと。
ずっと、縛られていくわけにもいかないだろ。幼い頃の約束。
口約束でしかない、許婚ってのに。
一瞬、教室に緊張が走る。
真知が、俺の名前を呼んだから。
真知の声は、よく通る。ざわめきなんて気にならないくらいに、響いて俺の耳に届くから。
そわそわし始めた教室の方々ににいるクラスメイトを見て、ガキくせぇなって思う。
高2にもなって、独占欲?気に入らないから、陰口?イジメ?
俺が原因で引き起こすことは重々承知。
うまく、立ち回って真知に火の粉が降りかからないようになってはいるものの。
「ロッカーに寄ってからな」
「うん、」
この二言三言の会話だけでも隠し切れないと殺意に近い嫉妬が届く。
もうちょっと外面だけでもいい顔してくれれば、表面だけでも相手してやったのに。
我が物顔で近付いてきた奴には手痛い仕返しをしてやった。
――それを知られるのが恥ずかしいのか、悔しいのか、はたまた認めたくないのか、わからないけど、何もなかったように振る舞っている。まぁ、俺は相手にもしてないから1人空回ってるようなもんだけど。
それにしても無邪気なもんだな、真知も。
そんな視線にも気付いていないのか、それとも気付かない振りをしてるのか。
どっちにしたって、いい。俺が悩むことではない。
今の俺の目下の悩みは、進路調査。
真知だって、同じもの配られてはずだ。
どう思っただろうか、今後のこと。将来のこと。
ずっと、縛られていくわけにもいかないだろ。幼い頃の約束。
口約束でしかない、許婚ってのに。