御曹司様はあなたをずっと見ていました。

「おはようございます。…みんな早いね。」

赤沢さんと細谷さんは、皆に挨拶しながら一緒に事務所へ入って来た。
そして、赤沢さんは、進一郎さんの顔を見るなりすぐに話し始めた。

「…高宮、昨日はあれから大丈夫だったのか?」

「…あぁ、なんとか家に送り届けたよ。」

送り届けたとは、どういう事なのだろうか。
私は、二人の会話に耳をそばだてる。

赤沢さんはさらに話を続けた。

「まさか真紀ちゃんが、日本にもどっていたとはな…高宮も知らなかったのか?」

「まったく知らないよ。…あいつとは、もう何年も会っていなかったからな。」

“真紀ちゃん”とは誰なのだろうか。
どうやら昨日、進一郎さんは“真紀ちゃん”という女性と一緒だったようだ。



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