年下御曹司の箱入り家政婦

「茜さんてさっき 
お前が振られた人?」

すでに茜ちゃんの記憶が曖昧な櫻ちゃんは
首の後ろに手を当てながら
斗真君に確認する。

「そうそう。
ちょっとぽっちゃりした色白で可愛い子。」

「はいはい、あの子ね。
そうだな、俺としては...」

「俺としては?」

斗真君は期待の眼差しで
櫻ちゃんが口を開くのを待つ。
 

櫻ちゃん、ここはズバっと
斗真君の暴走を阻止して!


私も斗真君とは別の意味で
櫻ちゃんに期待の眼差しを向ける。


「俺としては.....

お前が茜さんを
攻めようが攻めまいが
どうでもいいよね。

好きにすれば?」


櫻ちゃんの素っ気ない言葉に
斗真くんは
「なんだよ、それ〜」
とガクッとうなだれた。

「取り敢えず、捕まりそうになったら
会社は自主退職しろよ?
迷惑だから」

櫻ちゃんは興味ないというように
大きなあくびをしている。


ちょっと、
なに呑気にあくびなんてしてんの(怒)

しかも、結構ひどいこと言ってるし...


「お前はほんと失礼な奴だな。
よし、じゃあ俺、頑張るよ!」

櫻ちゃんの態度に
怒りながらも斗真くんは
気合いがみなぎっている。

あちゃ〜...
斗真くん、結局諦めないのね...

なんだか斗真くんが捕まるのが
現実味を帯びてくる。

茜ちゃん、ごめんね...

結局、斗真くんの暴走を止められぬまま、
私は櫻ちゃん達と別れると
茜ちゃんと同室の部屋へと向かった。




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