ずっと、好きなんだよ。
公園の時計の針は20時を指している。


オレはブランコに直行し、腰を下ろした。


そして、オレが今すべきことを考える。


あの日森下に中途半端と言われてからずっとモヤモヤして何も出来なかった。


色んなことから目を背けてきた。


逃げてきた。


誰かが追いかけてくれることを期待して


ただ逃げていた。


気づいたら何も見えなくなって


前に進んでいるつもりがどこを歩いているか分かんなくなって


塞ぎ込んで


心を閉ざした。


そんなオレの心をノックしてくれた人がいた。


産まれて初めて弱音を吐いた。


それでも信じてくれた。


オレのことをまるごと受け入れてくれた。


オレの幸せを願ってくれた。


それなのにオレは...


まだオレは悩んでいる。


でも、それは偽り。


本当は分かっている。


答えは出ている。


オレがしなければならないのは、たった1つ。


自分の心に正直になって


それに従って


自分を信じて


前を向いて歩くこと。


すごく単純だけど


苦手な人が多いことだ。


今まで振りきれなかったこと、


捨て去ろうとして出来なかったことも、


いっそ振り切って


いっそ捨てて


オレのままに生きれば


きっともう迷わない。


間違えない。


暗い世界を俯いて歩くなんて、らしくない。


オレはもう一度オレと出逢って


オレになるんだ。


どんなオレだってオレなんだから。


これ以上、落ちるもんか...っ!


椅子に両足を乗せ、膝を曲げ勢いをつける。


加速して上っていく。


そう、この感じだ。


こういうのが、オレらしい。


そう気づかせてくれた、


思い出させてくれた、


大切な人のために


オレは...生きる。


今度こそ、行くから。


必ず、行く。


そして、今度こそ


かつて言えずに飲み込んだ言葉を伝える。


そう、オレは誓いを立てた。


勢いを増すごとに上っていく。


夜空に近づく。


月が綺麗だ...。


素直にそう思えた。

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