【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ

シーツの上で手を動かし、手探りでスマホを手繰り寄せる。


ぼんやりと靄のかかった思考で、目的もないままスマホを起動させる。

用途がわからずSNSの類をやっていない俺のスマホは、必要最低限の連絡用となっている。


俺は検索サイトを開くと、『失恋 泣かせてしまった』と打ち込む。

けれど検索結果として表示されるのは、失恋した側が泣いたというような記事ばかり。

求めているような検索結果はヒットしない。


正直、失恋したこと自体よりも、小坂を泣かせてしまったことの方をより引きずっていた。

失恋はもちろんつらいしショックだ。

けれどそれ以上に、昨日の小坂の涙が頭から離れない。


小坂はあの時、なんで泣いたのだろう。

そんなに俺からの告白が嫌だったのだろうか。

……けれど、違う。

あの時の涙は、単なる拒絶の涙ではなくて、なんていうか、こう……。


言葉にならない感情が、糸になって絡まっていく。
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