【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ

けれどそんな外野の声が聞こえていないのか、小坂の笑みがぶれることはない。


「榊くん。突然ですが、今日の放課後私とデートしましょう」

「え?」


突然の“デート”という聞き慣れないワードに、俺は一瞬フリーズした。


デートって、あれか?

一般的に好き合っている男女がする、あの……?

それを俺と小坂が……?


瞬きさえ忘れて固まっている間にも、小坂はすらすらと話を進めていく。


「一緒に行きたいところがあるの。いいよね?」

「あ、ああ」

「決まりっ」


軽やかにそう言って、指切りげんまんをするように俺の小指に自分の小指を絡ませてきた。

鮮やかなほどあっという間に約束をとりつけた小坂は満足そうに笑い、女子たちの群れの中に戻っていった。


小坂はまるで台風の目のようだ。

なにもかもあっという間に根こそぎ巻き込んでいく。


けれど台風に身を任せるのも、そんなに悪くないことに思えた。





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