原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 今まで見せていた人懐っこさを消して、訊問する様な声色でダンカンはロザリンドに改まった。


 それはね、今夜あんたがオスカーに酷いことを
するから。
 ここであんたを倒したら、オスカーは媚薬に苦しまなくていいからだよ!

 そう言いたいのを我慢して、ロザリンドはひきつった微笑みを彼に向けた。


「……申し訳ございません。
 お義兄様が暴漢に襲われているのか、と早合点してしまいまして。
 どうかお許しくださいませ」

「ふーん、俺そんな風に見えた?」

「ダンカン、もうロージーに絡まないでくれ。
 約束は夜だったろ?
 どうして昼間から祭りに出てたんだ?」


 ずっと、難しい顔をして無言だったオスカーが
ロザリンドを庇うように間に入ってきてくれたので、こんな状況下でもロザリンドの胸はまたもや甘く疼いた。


「どうして、って……毎年、祭りの警備に辺境騎士団が駆り出されてるからだよ。
 俺が王都に行くから、って母上から手紙が来てただろ?
 お前に会いたかったけど、俺の名前で手紙を送ったら、まだ侯爵からは拒否されるかも、と思ってさ。
 母上に実家からの手紙として連絡頼んだんだけど」

「ダンカン、脱走したんじゃ……」

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