原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 しかし帰宅したふたりの様子を見るに。
 こちらからは切り出すのはやめよう、と思った。



 ここ最近の暗い影がオスカーから、消えていた。
 食事もきちんと食べ、楽しそうに祭りの話をする。
 時折、アメリアの隣の席のロザリンドに微笑みながら……


 オスカーなら、ロザリンドなら、彼等なら。
 その時が来たら。
 きちんと話してくれるだろう。
 この席に夫が居たなら。
 ふたりはどんな話を聞かせただろう。


 それを明日の楽しみに取って置くのもいいわね、と彼女の気分も久しぶりに高揚した。
 彼等が話す祭りの話に耳を傾けながら、アメリアはいつもよりワインの量が進んだ。


 夕食を終えて、子供達も各々の部屋に戻った頃にようやくコルテス侯爵が帰宅した。
 
 出迎えた時、夫クライドの表情は硬かった。
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