原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
「皆が息を飲むような男性にします」

 チカ先生が約束してくれた通り、彼の造形は最高だった。


「イケメン揃いの中でも、彼はダントツですね」


 ホナミ原作のコミカライズは3作目だったが、
ミカミに最高傑作だと言われた。
 時世も落ち着いて来たのでファンミーティングを行いましょう、とミカミが言った。


 異世界恋愛の話なのに、北関東の温泉地で行われる一泊二日のファンミ企画にチカ先生と笑った。


 彼は仕事で外泊することを反対するかと思っていたが、意外に文句も手も出されなかった。

 最近の彼は忙しそうで、ホナミに対する監視の目が緩んできていた。
 もしかしたら、新しいターゲットが見つかったのかもしれない。


 ホナミは無宗教なのに、手を合わせて祈った。
 神様でも仏様でも、なんでもいいから。
 次のターゲットにされたひとには、申し訳ないけれど。
 

 彼を、シュウジを。
 私から引き離してください。
< 20 / 255 >

この作品をシェア

pagetop