原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 束縛されても、それは溺愛なのだ、と言われて。
 管理されても、愛しているから独占したい、となだめられて。



 徐々に徐々にホナミは愛という名のもとに、自分を奪われる事に慣れさせられた。

 それに気付いた頃には逃げられなくなっていた。
 彼には何枚もの写真や何本もの動画を撮られていて、晒される事に怯えた。



 自分からは求めることが出来ない。
 与えられるものを受け取るだけ。
 拒否することも許されない。


 だから、ホナミは夢を見た。
 本当に女性を大切にしてくれる男性を。
 現実にはいないだろう男性を作ろうと思った。

 
 上辺だけの優しさじゃない。
 薄っぺらな美しさじゃない。
 言葉だけの強さじゃない。
 そんなホナミの、理想の男。


 艶やかな黒髪と煙るような紫の瞳。
 オスカー・オブライエン・コルテス。


「オスカーは私の理想なんです」


 打ち合わせの席で、担当編集者のミカミと作画担当のササキチカ先生に力説した。

 2人は笑って頷いてくれた。
< 19 / 255 >

この作品をシェア

pagetop