原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 そんな風にいい加減に、都合良く、無責任に細かい事は忘れてしまっていた。

 オスカーをミシェルに渡したくない、とただそれだけで、仮面祭りの事しか頭になかったのだ。
 無事にその夜が過ぎ、オスカーとも両思いになれた今、ここでその安易な設定からこんな問題に発展するとは、思いもしなかったのだ。


 チカ先生と。
 アビゲイルと話して、相談に乗って貰いたかった。
 昨夜までは、オスカーの恋人になれたことを喜んで貰いたかった。

 昨日の夕方、帰宅して直ぐにアビゲイルに手紙を送ったが、それを彼女が読めたのか定かではない。
 しかし……今は彼女と会うことも禁止された。


 彼女の家グレンフォール公爵家とコルテス侯爵家の間柄は悪くなかったが、この件でそれは一転した。
 中立派だったコルテス侯爵家は否応なしに王弟派と、なってしまったのだ。

 それがコルテスの望んだ事ではなかった、としても。
< 201 / 255 >

この作品をシェア

pagetop