原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
「そんなことを侍女が叫んでたらしいよ?」


 5年以上の付き合いで、いつも冷静なオスカー・オブライエンのこんな姿は見たことがない。


「お前のその魔法で、俺をロージーのところへ
連れていけ」

「悪いな、俺は自分1人しか転移出来ないから
親父殿のところへ助けを頼みに行く」


 オスカーが手首に巻かれたリボンを見せた。
 これが噂の『義妹からリボン強奪事件』のヤツだな、とグレンジャーは手を伸ばそうとしたが、オスカーはその手を背後に隠した。


「親父殿をここへ連れてきてくれ。
 これを渡したら、俺を置いてお前達だけで飛ぶ気だろ?」

「うーん……」

 言い当てられて、仕方なくグレンジャーは自宅へ飛んだ。
 登校する時、徹夜明けで入れ違いに帰宅した親父殿には、まだ侯爵令嬢誘拐の一報は入っていないだろう。
< 246 / 255 >

この作品をシェア

pagetop