原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 それで誰とも繋がらない夏休みになったが、孤独だと自分で思えば負けだ、と淋しさを認めたくなかった。


 夏休みが終わり最終学年に進級すると、掌を返すように攻略対象者の全員がミシェルの側に来なくなった。
 何人かはそれでも残る、と思っていた。

 皆は口には出さなくても、ヒロインに執着しているはずだから。
 王太子との真実の愛に生きても、彼等はミシェルの幸せを願ってくれて、いつまでも見守っていてくれるのだ、と思い込んでいた。


 それがこれまで読んできた異世界恋愛逆ハー物の定番だから……


 彼等が居なくなったことで、モブ達の遠慮がなくなった。
 彼女とすれ違うと、奴等は目と目を見合わせて嗤っていた。
 授業で隣り合わせの席であろうと、必要以上に間を空けられた。


 ウェズリーの元婚約者の義兄が、彼女を避けるような素振りをあからさまにするようになった事が元々あった状況に拍車をかけているように思えた。
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