これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー

お見合いの練習

私は小さい頃から、良く言えば天真爛漫、悪く言えば天然と言われていた。きっと、一人っ子で誰かと張り合うこともなかったせいだ。

親同士が昔から仲良しで、小さい頃からお互いの家を行き来していたこともあり、私たちは兄妹のように育った。
幼い頃から徹也くんのことを振り回していたと母や周りの人たちは言うけれど、私には全くそんな自覚はない。
むしろ私より三歳年上の徹也くんは、小さかった頃はそれこそお兄さん風を吹かせて、私をよく連れ回していた。

それこそいつも何かしようと言い出すのは徹也くんなのに、気がつけば私が言い出したことになって、最終的には私のせいになってしまっていた。

あるときは探検ごっこと称して色々なところに行っては迷子になり、よくお巡りさんのお世話になっていた。
家に送り届けてくれるのがいつも同じお巡りさんだったので顔馴染みになり、そのお巡りさんが異動になったとき、わざわざうちと徹也くんの家へ挨拶に来てくれた記憶がある。
「もう迷子になっても送ってあげられないよ」と言われ、悲しくて大泣きしてお巡りさんを困らせたな……

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