ラブアド〜シオリの物語〜
第一章 出会い
人の愛し方には色々ある……。

暴力で愛を表現する者、SEXで愛を表現する者……。

相手と常に一緒にいたい……。

相手を束縛しないようにしたい……。

何が二人の幸せなんだろう……?

これは、俺がシオリと出会った時から始まる物語……。

俺のシオリの愛し方……。
あまりにも辛すぎる愛の表現……。

俺は何で、こんな愛し方を選んだんだろう……。



その日は久しぶりの出勤日だった。

俺は昔のツテで入ってきた仕事で二週間タイのチェンマイに行っていた……。

タイは刺激的な国だった。

旧友との再開も懐かしかった……。

何より、俺はタイで最愛の彼女を見つけた……。

こんなカスみたいな俺を愛してくれた女……。

タイでの別れは辛かったが、俺は幸せだった……。

愛に国境は無い。

俺はこれから彼女と人生を歩んでいくんだ……この時の俺は心底そう思ってた……。

タイでの二週間は、本当に夢のような一時だった……。

今日からまた、現実のフリーター生活が始まる……。

俺には夢がある……。

それは小説家になって一旗上げる事……。

その野望を成し遂げるまで、俺のフリーター生活は続くのだろうか……?


俺は昼のバイト先である駅ビルの中にあるカフェに向かった。

朝の仕込みとオーダーをこなしながら、バイト仲間とおしゃべりをする。

昼近くになって店長がやってきた。

タイの土産を渡しながら、店長と話していると店長がこんな事を言い出した。

「今日から新しく女の子入るから。今はバイトだけど、社員希望の子だから……」

「……そうなんですか」

前なら新しい女の子が入ると聞けば胸が弾んだ。

だけど、今の俺にはタイの彼女がいる……。

まぁ、それでも女の子とおしゃべりするのは楽しいけどね……。


そんな中、新人の女の子が出勤してきた。

「初めまして内藤です。よろしくお願いします」

そう言って彼女は皆に挨拶していた。

へぇ〜、結構かわいいじゃん……。

それがシオリに感じた第一印象だった……。


この時の想いが、まさかあんな形になるなんて……この時の俺は思いもしなかった……。

【続く】


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