ラブアド〜シオリの物語〜

友達

“友達”……聞こえはいいが、それは悲しい関係でもある……。

それは相手を好きになってしまった場合だ……。


シオリは俺の事をただの友達だと思っていただろう……。

俺はそれに気付いていた……。


ただ、俺はシオリとの友達としての関係が心地良かった……。


毎日、電話やメールをしてきてくれて、自分の気持ちや体調、仕事の話などをたくさんしてくれた……。

俺は嬉しかったが、その反面、悲しかった……。


シオリを好きになり過ぎて……。



自分の心に嘘をつく……それほど悲しい事はない……。

虚しい事はない……。

辛い事はない……。



今までならそれでもがむしゃらに突っ走った事もあった……。

自分の気持ちを一番に考えて、ひたすら相手にアタックした……。


でも、今回は違う……。


俺は自分の気持ちに蓋をする道を選んだ……………………………………………………………………………………………。



その間にもシオリの周りには男の話題が絶えなかった……。


別れては寄りを戻していた元カレと完全に別れたこと……。


想いを寄せていた魚屋の男が実は妻子持ちで、関係を持った後に知った時のこと……。


あの時は、泣きながら俺の部屋に来たね……。

あの時、俺は自分の中の衝動を押さえるの大変だったんだよ……。

あの時もし、俺がシオリに手を出してれば、俺達の関係って、今と何か変わってたのかな……。



それから、たぶんシオリが今までで一番愛したミュージシャンの卵との恋愛の日々……。

シオリは二人の普通なら人に絶対に話さないような事まで、俺に話してくれたね……。


二人のエピソードを小説に書いたりして読ませてくれたりもしたっけ……。


あの頃は完全に友達として話を聞いたり、アドバイスしてたね……。


だけど時々、友達じゃなくて男としての気持ちが滲み出ちゃってた時もあったんだよ……。


俺は必死に友達として努めてた……。



シオリのあのメールを見るまでは……。


【続く】


< 10 / 10 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

ゴルゴンゾーラ
ニプル/著

総文字数/3,436

恋愛(その他)4ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop