その溺愛は後出し不可です!!
「今日は来てくれて助かった」
「いえ、これも仕事ですから……」
果歩はベッドに入ると身じろぎしないように注意深く、掛け布団を被った。
二人で並ぶとやや狭いセミダブルのベッドの中では油断すると身体が触れ合ってしまう。
そんなことになったら脆弱な果歩の心臓はすぐに根を上げるだろう。
「俺達、梅木にはいつも助けられてるな」
「そんなこと……」
手放して褒められてくすぐったくなってきた果歩はうっかり昴を見上げてしまった。そして、すぐ後悔した。
果歩をジッと見つめる昴の瞳があまりにも真剣だった。
「風間が奥さんと大喧嘩した時も仲を取り持ってくれたし、ジローがぎっくり腰で動けなくなった時なんか二週間近く家まで世話しに行ったこともあっただろう?」
「そんな事もありましたね……」
「俺も梅木がいるから頑張れるよ」
愛を囁かれるように感謝を告げられ、果歩は耳まで真っ赤になった。
昴は茶化すでもなく、媚びるでもなく果歩の仕事をありのまま正当に評価してくれていた。
創業メンバーの三人と違って果歩には何の技術もコネもない。
技術面では何の力にもなれず歯痒い思いもたくさんした。
だからこそ、一歩引いて彼らをサポートにすることに徹してきたのだ。