円満夫婦ではなかったので
次のページはなぜか日付が飛んでいた。


【一月十四日 瑞記のビジネスパートナーの名木沢さんが女性だと知った。
ショックだった。彼はあまり家で仕事の話をしないから今まで知らなかった。
出張もふたりで行っていたようだ。
帰らなかったクリスマスも仕事で、ふたりで過ごしていたのだそう。
彼女と仕事以外では距離を置いて欲しいと頼んだら瑞記が激高した。
瑞記にとって名木沢さんは必要な存在だそうだ。
それなら妻の私はどんな存在なのだろう。
聞くと、そんなことを気にする私がおかしいと瑞記は言った
納得できなかったけれど喧嘩が酷くなり何も言えなかった】


名木沢希咲の存在を知りショックを受けているものの、文章自体はそれ程感情的ではなく抑えている。
ただそれまでと比べてかなり長文だ。

それだけ不満で吐き出さずにはいられなかったからだろうか。

事故の後、病院で夫のビジネスパートナーが女性だと知ったときのことを思い出した。

あのときは瑞記への気持が無かったから驚き違和感を覚え、多少不快感を持ったくらいだったけれど……。

(当時の私は、きっとすごくショックだったんだろうな……結婚して初めてのイベントは全部他の女性と過ごしてたってことだものね)

何を言っても省みられない妻。あまりに哀れだ。

それなのに反論出来ないところが、情けなくて歯がゆいく読んでいてストレスが溜まるばかりだ。

もう日記を閉じてしまいたい気持ちだが、有益な情報があるかもしれないので先に進めるしかない。



【一月二十日 やはり瑞記と名木沢さんの関係はおかしいと思う。
彼女について調べてみた。既婚者だった。
それなら心配することはないのかもしれない。
でも彼女は瑞記が家で私と過ごしているとき、必ず電話をしてくる。
わざと邪魔をされているような気がしてならない。
瑞記に彼女と距離を置いて欲しいと頼んだ。
でも聞き入れてくれないどころか、私との距離を置こうとしているのか、無視されている。
どうすればいいか分からない。何もかもが嫌になる。
でも家族と友人の反対を押し切って結婚したのだから、頑張らなくては】


衝撃の一文があった。

(私たちの結婚って周りから反対されていたの? そう言えば以前彬人が……)

『見合いから結婚までがあまりに早くて俺は少し心配だった。でも園香は大丈夫だと言っていた。結婚を急いでいる様子に見えた』

彼が園香に言った言葉だ。

あれは結婚を反対した事実をソフトに言い換えていたのかもしれない。
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