円満夫婦ではなかったので
瑞記は希咲が落ち着いたのを確認してから、園香に視線を移して改まった様子で口を開く。
「今日は園香に名木沢さんを紹介しようと思ったんだ」
こんなに急に紹介の場を作られても困るが、本人の前ではさすがに言えない。
園香は黙って相槌を打つ。
「覚えてないだろうけど、以前の園香は僕が仕事で不在にしていると驚くくらい心配したんだ」
「……そう言えば、私は仕事に理解がなかったようなことを言ってたね」
瑞記は一瞬気まずそうな表情を浮かべた。
「そこまでは言ってないよ。ただ今後も僕は不在がちになる。以前のように心配させない為にも名木沢さんからも説明して貰おうと思って。そうすれば園香も安心だろう?」
園香はこっそりと溜息を吐いた。瑞記の口調は穏やかだし、気を遣ってくれているのは分るけど、園香の望む方向性と違っている。
ビジネスパートナーを連れて来て説明するより、夫である彼の口から話してくれたらよかったのに。
(これは価値観の違い?)
「僕たちの会社がデザイン関係の仕事をしていると言っただろ?」
「ええ。そう言えば、会社名はなんて言うの?」
「ああ、TYワークって言うんだ」
TYとはどういう意味なんだろうと考えながら園香は頷く。
「それで……改まると説明が難しいな」
「奥様、続きは私から話しますね」
瑞記が言葉に詰まるとフォローするように希咲が言葉を挟んで来た。
返事をする間も無く、彼女が話し始める。
「私たちは美倉空間デザインという会社の同僚として知り合ったんです。今から五年くらい前のことです。仕事の考え方などがともて合って、いつか独立して会社を立ち上げようと話していたんですよ」
希咲は当時を思い出しているのか、懐かしそうな表情になった。
「……美倉空間デザインは知っています。ソラオカ家具店も取引がありますので」
ソラオカ家具店ではデザイン業務の一部を外注している。数社と取引があり、大きなプロジェクトの際は競合でどの会社に依頼するか決める。
園香が関わった仕事でも美倉空間デザインに依頼した覚えがあった。
「今日は園香に名木沢さんを紹介しようと思ったんだ」
こんなに急に紹介の場を作られても困るが、本人の前ではさすがに言えない。
園香は黙って相槌を打つ。
「覚えてないだろうけど、以前の園香は僕が仕事で不在にしていると驚くくらい心配したんだ」
「……そう言えば、私は仕事に理解がなかったようなことを言ってたね」
瑞記は一瞬気まずそうな表情を浮かべた。
「そこまでは言ってないよ。ただ今後も僕は不在がちになる。以前のように心配させない為にも名木沢さんからも説明して貰おうと思って。そうすれば園香も安心だろう?」
園香はこっそりと溜息を吐いた。瑞記の口調は穏やかだし、気を遣ってくれているのは分るけど、園香の望む方向性と違っている。
ビジネスパートナーを連れて来て説明するより、夫である彼の口から話してくれたらよかったのに。
(これは価値観の違い?)
「僕たちの会社がデザイン関係の仕事をしていると言っただろ?」
「ええ。そう言えば、会社名はなんて言うの?」
「ああ、TYワークって言うんだ」
TYとはどういう意味なんだろうと考えながら園香は頷く。
「それで……改まると説明が難しいな」
「奥様、続きは私から話しますね」
瑞記が言葉に詰まるとフォローするように希咲が言葉を挟んで来た。
返事をする間も無く、彼女が話し始める。
「私たちは美倉空間デザインという会社の同僚として知り合ったんです。今から五年くらい前のことです。仕事の考え方などがともて合って、いつか独立して会社を立ち上げようと話していたんですよ」
希咲は当時を思い出しているのか、懐かしそうな表情になった。
「……美倉空間デザインは知っています。ソラオカ家具店も取引がありますので」
ソラオカ家具店ではデザイン業務の一部を外注している。数社と取引があり、大きなプロジェクトの際は競合でどの会社に依頼するか決める。
園香が関わった仕事でも美倉空間デザインに依頼した覚えがあった。