円満夫婦ではなかったので

「はい。私も瑞記もソラオカ家具店の仕事の経験があって担当者と懇意にしていたので、その縁で独立してからも取引を頂いているんです」

「そうなんですか?」

園香は僅かに首を傾げた。

(ソラオカ家具店が瑞記の会社に仕事を頼んでいるのは、前職での関係と言うより、父親同士の交流によるコネじゃなかったの?)

結婚だって、両家の親の縁がきっかけで纏まったようだし。

疑問だったが深く考える暇はなく、希咲の話が続く。

「起業して二年が経ち経営は日々上向いているんですよ! ただその分忙しくて瑞記は家庭サービスが出来なかったんです。奥様はそれが気に入らなかった様子で。あと……私が常に同行しているのも不快に思っていたようなんです」

「えっ?」

肩を落としながら告げられた希咲の言葉に、園香は驚き目を見開いた。

(不快に思ったのはなんとなく分るけど……名木沢さんにも気づかれるくらい、あからさまに態度に出していたの?)

自分がそんな言動をするなんて信じられない。たとえ嫌いな相手でも表向きは普通に振舞う自信はあるのに。

その時の自分は何を考えていたのか。

「あの、私の態度こそ不快にさせてしまいましたよね。申し訳ありませんでした」

居たたまれなくなって頭を下げる。

希咲はいいんですよと微笑んだ。
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