ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「いや……あのぅ、あれはとてもマンスリーアパート、って感じじゃないんですが」

「マンスリー? 何言ってるんだ、あれはオレの家」

「え、あ、あぁそうですか」
やれやれ、と肩から力を抜く。

さすが上場企業の副社長。
想像通りのセレブなお住まいですね。

じゃあ、あそこに車を停めるから、あとは自力で行けってこと?
近くなのかな。
「徒歩で行ける距離なんですか? 私のマンスリーアパート」

「どうしてそんなにマンスリーにこだわるのか知らないが、ここが今日の目的地だぞ?」

ん? んん?
なんだか話がよく見えない。

「いえ、あの、私が一時的に使わせていただく、お部屋というのは……」

「だから、うちに住めばいいってこと。部屋は余ってるし、会社にも近いし、ちょうどいいだろう?」

「は、ぁあ?」
何が“ちょうどいい”のか、全く理解が追いつかない。

「……ええと、まさか……、私たち、一緒に住む、ってことですか?」

調子に乗るな、と怒られることを前提に、冗談めいた口調で言ったのに――返ってきたのは、呆れたような眼差しだった。

「むしろ、ここまで来てそれ以外のどういう選択肢があるのか聞きたい」

え……

え、ぇええええっ!?


< 101 / 345 >

この作品をシェア

pagetop