ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
10. 織江side 初デートでドキドキが止まりません!

【えぇっデート!?】

【違うってば、気分転換! 最近、私が疲れてるからって。気を使って、誘ってくれただけ。これもボランティアだよ】
【気分転換に2人でお出かけすることをデートというんでしょ、何が違うのよ。だいたい、あの多忙な副社長がボランティアしてる暇があるとでも?】
【……とにかく、これはデートじゃないの! そこに恋愛感情がないんだから、デートなわけがないでしょう?】
【はいはい、まぁなんでもいいけど。どこに行くのか聞いたの?】
【それが、ドライブだってことだけ。あとは着いてからのお楽しみだって教えてくれないの】
【へぇ、副社長がそんなサプライズ好きだとは思わなかったわ。やっぱり愛されてんのね織江】
【どういうこと?】
【好きな相手だからびっくりさせたいし、喜ばせたいってことよ】
【そんなわけないじゃない。とにかく、何を着て行ったらいいのかわかんないの。助けてノリちゃん!】
【行き先がわからないなら、攻めるのは止めて、無難なコーディネートにしといた方がいいわね】
【せ、攻めるって何?】
【それはいいのよ、まだ先で。とりあえず、女子アピールも忘れないように――……】


ノリちゃんと協議の上、前日の夜にようやく決まったのは白のレースブラウスとミントグリーンのワイドパンツ、というコーディネート。
爽やかデートコーデだって彼女は太鼓判を押してくれたけど……甘すぎる恰好だったかも。何カン違いしてるんだコイツって呆れちゃうだろうか。

ただ……彼の本音がどうだろうと、私の中ではデートだから。
最初で最後のデートだから、この際何もかも忘れて楽しみたい。
心の中でそう思うのは、自由よね?

どうか思い出に残る最高の一日になりますように――

念じつつ、朝一番に開けたカーテンの向こうは曇り空。
まぁ、梅雨時なのに雨が降らなかっただけよしとしよう。

うんうん、と自分を慰めるように頷いた私は、朝ごはんの支度をするためにベッドから降りたのだった。

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