ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
知られないまま破談にできたら、それが一番だったのに……
すべては、私のせいだ。
私がもう少し彼の傍にいたいと、浅はかなことを考えてしまったせい。
早く、もっと早く彼の前から消えるべきだったのに……そっと震える両手を握り締めるわたしの耳に、「あぁーあ」とキララのわざとらしい声が聞こえた。
「お見合い写真、もう見ちゃったんですね? あれ、お姉ちゃんが勝手に自分のものと入れ替えたんですよ。本当はあたしの写真が入っていたのに!」
「「え」」
貴志さんはもちろん、私も絶句。
私の写真が先方に渡っている件、どうするつもりなのかと思ったけど……全部私のせいにすることで、辻褄を合わせるつもりらしい。
「何しろ、彼氏とわざわざ別れて、ここで働き始めましたからね。嫌な予感がしたんです。職場で近づいて、そのままキララのお見合いを盗るつもりだったんだわ。村瀬さんの方が、元カレよりたくさんお金持ってるから!」
よくもまあそこまで設定を考えたものだ、と感心すらしながら、ドヤ顔で腕を組むキララをまじまじと眺めてしまった。
「でもうちの両親も、このヒトを村瀬さんに勧める気はさらさらなかったんですよ? だって、大企業の社長夫人っていう器じゃないんですもん。スペック重視で恋人を乗り換えるし、とにかくお金への執着がすごくてパパ活みたいなこともしてるみたいで」
は? ぱ、パパ活?
「キララ、ちょ、何言って……」
彼女が私をディスることは想定内とはいえ、そんなワードが出て来るとはさすがに考えてなくて混乱する。
「何を言ってるのかよくわからないが、君のお姉さんだろう。そんな馬鹿な真似をするような人だと思うのか?」