雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「ここだけの話ですけど」
久保田が声を潜める。
「秘書課の女性社員が雨宮課長を取り合って大変だったらしいです。ああ見えて雨宮課長、女性関係派手らしいです」
社内の噂話に疎いから全然知らなかった。
ショック。雨宮課長にそんな話があるなんて。
「でも、噂話でしょ?」
「噂話じゃないですよ。実際にあった事です。雨宮課長とつき合っていた秘書課の子から直接聞きましたから。実は同期なんです。雨宮課長の家に行ったら、同じ課の人と鉢合わせになったらしいです」
これ以上は聞きたくない。
誠実そうな雨宮課長が二股をしていたなんて。
しかも相手は社内なんてお手軽過ぎる。
もしかして私もそういう対象として狙われている? だから雨宮課長は優しいの?
雨宮課長に持って行こうと買ったブルーベリーマフィンの入った紙袋が急に色あせて見える。
「久保田。そういう話あんまりしない方がいいよ」
「僕の話が信じられないんですか?」
「そういう訳じゃないけど」
「中島さんが心配なんです。雨宮課長の毒牙にかからないで下さい」
久保田がキリッとした真剣な表情を浮かべる。
そんなに私、危うく見えたのかな。
「そんな事より、『ラストヒロイン』のプロモーションしっかりやってよ。阿久津部長の顔色を見過ぎて変な方向に行かないように。異動になっても私が睨んでいると思いなさい」
バンッと久保田の背中を叩くと、あいててと前のめりになった。
仕事はできるけど、久保田はちょっと頼りないから心配。
久保田が声を潜める。
「秘書課の女性社員が雨宮課長を取り合って大変だったらしいです。ああ見えて雨宮課長、女性関係派手らしいです」
社内の噂話に疎いから全然知らなかった。
ショック。雨宮課長にそんな話があるなんて。
「でも、噂話でしょ?」
「噂話じゃないですよ。実際にあった事です。雨宮課長とつき合っていた秘書課の子から直接聞きましたから。実は同期なんです。雨宮課長の家に行ったら、同じ課の人と鉢合わせになったらしいです」
これ以上は聞きたくない。
誠実そうな雨宮課長が二股をしていたなんて。
しかも相手は社内なんてお手軽過ぎる。
もしかして私もそういう対象として狙われている? だから雨宮課長は優しいの?
雨宮課長に持って行こうと買ったブルーベリーマフィンの入った紙袋が急に色あせて見える。
「久保田。そういう話あんまりしない方がいいよ」
「僕の話が信じられないんですか?」
「そういう訳じゃないけど」
「中島さんが心配なんです。雨宮課長の毒牙にかからないで下さい」
久保田がキリッとした真剣な表情を浮かべる。
そんなに私、危うく見えたのかな。
「そんな事より、『ラストヒロイン』のプロモーションしっかりやってよ。阿久津部長の顔色を見過ぎて変な方向に行かないように。異動になっても私が睨んでいると思いなさい」
バンッと久保田の背中を叩くと、あいててと前のめりになった。
仕事はできるけど、久保田はちょっと頼りないから心配。