雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「佐伯リカコの事では優柔不断ですまない。彼女を切れないのは、結婚していた時、彼女を幸せにできなかったという負い目があるからだ。俺は宣伝部でバイヤーの仕事をしているのが好きだった。世界中の映画祭に行って、映画を買い付けて、それが当たった時の嬉しさは言い尽くせない程だった。仕事に夢中だったよ。気づくとほとんど家に帰る事はなくなっていた。彼女にも、優真にも沢山寂しい想いをさせてしまっていた。そして、優真が病気になって俺は自分が酷い夫で父親だった事に気づいた。毎日、彼女に責められるのは当然だと思った。優真が病気になったのも、彼女の言うように俺のせいな気がして」

拓海さんが深いため息をついた。

「そんな事ありません! 拓海さんのせいじゃないです! 悲しいけど、それが優真君の運命だったんです」

「運命か。奈々ちゃんはそんな風に言ってくれるんだな」

「だって本当に拓海さんのせいじゃないと思うから。優真君だってそんな風に思っていないと思います」

「ありがとう。奈々ちゃん。奈々ちゃんのそういう所に救われるんだ。奈々ちゃんはいつも俺を癒してくれる。だから甘え過ぎていたのかもしれない。すまない。奈々ちゃんに沢山、辛い思いをさせたね」

「いえ」

「佐伯リカコにハッキリと言うよ。これ以上は恋人のふりは出来ないって」

えっ……。

「いいんですか?」

「奈々ちゃんの気持ちを聞いてハッキリとわかったよ。彼女の事はもう過去の事だ。今、俺が大事にしなきゃいけないのは奈々ちゃんだ。大事な人をもうニ度と失いたくない」
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