雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
ワインバーを出て、一人、電車に乗っている時、無性に雨宮課長に会いたくなる。

「雨宮課長の毒牙にかからないように気をつけて下さいね」

昼間の久保田の言葉が胸に過る。

秘書課の社員が雨宮課長を取り合ったという話の真偽については桃子に聞けなかった。

映画館でハンカチをそっと差し出してくれた雨宮課長。アイスコーヒーもどきを私に飲ませる雨宮課長。映画の話を熱くする雨宮課長。私を阿久津から守ってくれた雨宮課長。

いろんな雨宮課長が浮かんで胸を締め付ける。

もし、雨宮課長が久保田の言うような要注意人物だとしても、私はもう雨宮課長の毒牙にかかっている。

雨宮課長が好き。

好きになっちゃった。

上司なのに。

しかも直属のになる。

総務課へ異動したら今よりも顔を合わせる事が増える。

雨宮課長の下でやっていけるかな。

この気持ち、隠せるかな。
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