雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
雨宮課長とエッチだなんて……。

絶対、桃子、私が無理だって思う事言ったでしょ?
だいいち、恋愛ドラマみたいな展開で思い出す訳ないじゃない。

もう一度雨宮課長に恋だなんて……。

パシャパシャと白いバスタブの熱い湯を両手で細かく叩いて、恥ずかしくて堪らない気持ちを何とかやり過ごす。

帰宅して一人、お風呂に入っていた。

雨宮課長はまだ帰って来ていない。

接待で遅くなるから、先に寝ているようにと言われている。
寝る時間まで心配されているなんて、すっかり雨宮課長は私の保護者のよう。

そう言えば、夜、マンションに一人になったのは初めて。
雨宮課長はいつも私と同じ時間に帰宅していたから。

帰りは何時になりそう? って、毎日訊かれていた気がする。多分、私を一人にしないように気を配ってくれていたんだ。

雨宮課長だって自分の仕事があって忙しいのに……。
私の怪我だって労災保険の手続きをしてくれていたし。

私、何から何まで雨宮課長にお世話になりっぱなしだ。
雨宮課長に恩返しするには、やっぱり記憶を取り戻す事だよね。

記憶を取り戻すには……。

頭の中に上半身裸の雨宮課長にベッドに押し倒されている所が浮かぶ。

逞しい胸板に、余計なお肉のない引き締まったお腹、体温の高い肌から漂ってくる雨宮課長の甘い匂い。奈々ちゃんと普段より艶のある声で呼ばれて……。

お風呂に入っているせいではなく、頬が熱く火照ってくる。

ああ、だめ! 
雨宮課長とエッチだなんて、ドキドキし過ぎて死んじゃう!

お湯の中でジタバタと手足を動かしながら、頭の中の裸の雨宮課長を何とか、かき消した。
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