雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
ちらりと視線を向けると、頬杖をついて、口元を抑えた雨宮課長が「まずい」と低い声で呟く。

まずい? 何が?

瞬きをしていたら、「奈々ちゃんが、可愛すぎる」と言われてびっくり!

私が可愛すぎる?
なんでその解釈? 

ぶすっとした顔で、怒っていると言った私のどこが可愛いの?
雨宮課長が宇宙人過ぎて訳がわからない。

しかも眼鏡の奥の黒い瞳が細めて私を見ている。まただ。大事な物を見るような、優しい目つき。そんな目で見られると心臓が熱くなって、ドキドキして、落ち着かなくなるからやめて欲しい。

強く握られたままの私の手も、いつ解放してくれるのだろう?
ここは会社から一番最寄りのコンビニだから、会社の人と出くわす可能性は高い。カウンターの上で手を繋いでいる私たちを見て変な噂が立つかもしれない。雨宮課長はそういうの気にしないの?

「あ、あの、手を放してくださ……」
「奈々ちゃん、キスしていい?」

き、キス……!

この人、な、何言っているの? 
コンビニで、人前で、ダメに決まっているでしょ!

そう言おうとしたら、フッと笑った雨宮課長が近づいて唇が重なる。煙草の味がするキスに心臓がぎゅって締め付けられた。
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