雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】

【Side 雨宮】ご飯行きませんか。

チャコールグレーのスーツに身を包み、今朝はいつもより一時間早い、始業時刻の二時間前に出社した。

昨日は緒方専務に同行して大阪まで行っていた為、総務部のオフィスを不在にしていた。

パソコンを起動してメールチェックする。一日いなかった為、百通ほど溜まっている。

量は多いが9割はあらかじめ作ってある定型文を使って返信ができるので時間はそんなにかからない。

信頼関係を築く上で大事な事だと思っているから、極力、メールの返信はその日のうちにしている。仕事は人との関係を大切にする事から始まると新人だった時に上司だった緒方専務に教えてもらった。それを肝に銘じていつも仕事をしている。

必要なメールへの返信が終わると、ちょうど始業時刻となった。

総務課での朝のミーティングをして、それから各部の課長以上の社員が出る会議に出る為、オフィスを出た。

廊下で中島さんを見かける。

今朝の彼女は肩まである栗色の髪をまとめ、黒のパンツスーツ姿で、背筋をピンと伸ばし、隙のない様子で歩いていた。

カッコイイと中島さんに憧れる声はよく聞く。
俺も中島さんの事は仕事のできるカッコイイ女性だと思う。

しかし、それだけではない事を最近知った。
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