雨宮課長に甘えたい【2022.12.3番外編完結】
「中島はここで降りろ」

成り行き上、望月先生の家から阿久津と久保田と同じタクシーに乗っていたけど、タクシーが先生の家を出た所で、いきなり阿久津が車を停めた。

言われなくたって、阿久津と同じタクシーになんか乗りたくない。

「阿久津部長、失礼します」

助手席から降りた。

後部座席の窓が開き、阿久津が強面の顔を出す。

望月先生と同じ年だとは思えないぐらい阿久津は腹黒そうな顔をしている。顔立ちはそんなに悪くないから、悪役俳優としての需要がありそうだ。

なんて、つい意地の悪い事を思ってしまう。

「中島、月曜日までに見つけろ。それ以上かかるとプロモーション活動に支障が出る。しくじったら今度こそ久保田とセットで札幌に飛ばすからな」

月曜日……。

今日は金曜日だから、今日を入れて猶予は3日。

「中島、どうなんだ? できるか?」

圧力をかけるように阿久津が凄んでくる。

阿久津に負けるもんか。

絶対に見つけてみせる。

「はい。月曜日までに見つけます」
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