とあるヒロインと悪役令嬢の顛末〜悪役令嬢side



ひと月、ふた月と時間が経ち、無事にマーガレットと合流したカトリーナ、イェーナ。

断罪前に、何とか皆逃げ出すことに成功したわね。

マーガレットは、胸を撫で下ろした。

今、マーガレット達は、商会の建物の3階を其々の自室にして、興味のあることを学びにそれぞれ学校や職場に通っている。

カトリーナ——カティは、プロのピアノ奏者を目指して国立音楽学校へ。
既に帝国のサロンで腕前を披露することもあった彼女。将来は明るそうだ。

ベルは、商会に就職したいと、見習いとして私の補佐に着いてくれている。
いずれ、一緒に経営していけたら有難い。

そしてイェーナ——ナナ。
彼女は何と、騎士学校に通っているのだ。

元々剣が好きで、基礎訓練は続けていたらしい。
公爵家に嫁に行くとそれも出来なくなると諦めていたが、この機会に女騎士を目指すそうだ。

そして——私は、魔道具の研究をすべく、養成学校に通っている。
魔力は有り余っているので、記憶にある『家電』を再現できないかと考えてのことだ。

商会の経営との両立は大変だが、ベルや他の腹心と協力しつつ、何とかやっていこうと思っている。





———そんなこんなで、それぞれ慌ただしい日々を過ごしながら一年も経つと、皆学校や職場で一定の成果を上げていった。

流石、元々有能な女性たちだ。

私も最近、扇風機っぽいものの開発がほぼ完成。自分の商会で売り捌く予定だ。
ベルが、それはもう張り切っている。

ベルは、化粧品部門で頭角を表して、ヒット商品もいくつか手掛けている。
交渉術も流石の伯爵令嬢。
腹黒商人相手に、一歩も引いていない。

カティは、何と国立音楽学校の教師になりそうだ。
学校の先生から、熱心に誘われたそう。
卒業を待って、着任の予定だ。

学園を卒業してワルター王子の専属秘書となったアリーは、忙しく帝国と王国を行き来している。
学園次席卒業の才媛は、優秀な秘書としてワルター王子や側近の方々に可愛がられているようだ。

ナナは、剣術学校の学内大会で、8人しか選ばれない代表選手に選ばれたそう。
「同級生だけですので、大したことはないですわ」と本人は謙遜するけど、侯爵令嬢が選手に選ばれたのだ。
どれだけ努力したのか、分かるというもの。

うん、この女性達を、破滅から守れて良かった。
大切な友人達は、私の誇りだ。


——そんな日常を過ごしている間に、2年近い月日が流れようとしていた。



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