とあるヒロインと悪役令嬢の顛末〜悪役令嬢side



「…ありがとう」

涙を堪えて言う私に、他の3人も頷く。

ちょっと考え込んでいたカティが、呟くように言った。

「……今、ミク様を見つけて連れ戻したとして。

それは、ミク様の『幸せ』になるのでしょうか?」


私は、はっとした。
そうだ、ミクはきっと、私や、仲良くしていた男性の元婚約者であるカティ達に強い罪悪感を抱いて、姿を消したはず。


探し出して会って。
今、私達が幸せだとしても。
壊してしまったものを見せつけられるような気持ちになるだろう。

そして、戻ってきたとしても、今までのように無邪気に、エドウィン様達の側にはいられない。




——私に、何かできないか。
臭いものに蓋をするように、魅了に対処することを諦めていたけど。

ミクがその能力(チカラ)を拒否するなら、『魅了』をなくしてしまうことは出来ないか。


「私、『魅了』を壊したい」

私は、思わず呟いた。

「『魅了』がなくなったら、きっとミクは戻って来れる。
だから、ミクから『魅了』の能力(ギフト)を外すか、壊す方法を考える」


私たちを、スタンピードから守ってくれた。
懐かしいあの地の匂いを感じる、可愛い義妹。


——私の周囲の女の子は、皆幸せでなくてはね!


私は、グッと拳を握りしめた。
その様子を、蒼星の4人は、微笑んで見つめていたのだった———







< 26 / 47 >

この作品をシェア

pagetop