オリオンの夜明け〜一生大切にするから〜
「弱くていいから、泣いていいから、ただ俺の側に居てくれたらそれでいいんだ」
春樹から、隠すように、両手で顔を覆って涙が止まらなくなった私を、春樹がそっと抱き寄せた。
「でも……私は永遠に明香さんにはなれない。春樹の愛する女性にも、星香の本当のお母さんにもなれない……から……」
「未央は未央だよ。明香の代わりじゃない。
明香の代わりだなんて思ってないよ」
「……春樹……ひっく……」
「それに……星香のお母さんは、未央だよ」
「……え?……」
思わず、私は濡れた瞳のまま、春樹を見上げた。
「星香は、未央の事、お母さんだと思ってる。それも自慢のね」
春樹は、立ち上がるとチェストの中から、数枚の白い紙をとりだした。
「この間、星香が持ち帰ってきた作文だよ。恥ずかしいから未央には見せないでって言われてたけど。これ、見てよ」
私は作文用紙を受け取ると、思わず、何度もその文字をなぞっていた。
題名は『大好きなお母さん 6年1組 松原星香』
「『私の夢』っていうテーマで作文書いたらしくてさ、学校で表彰されたらしいよ」
春樹が、形の良い唇を持ち上げると、にこりと微笑んだ。