暑い夏は冷たい晴に恋をする
「もういいもん。お出かけめいっぱい楽しんでやる」
「なっちゃ〜ん…」
こうくんの呆れた声なんか聞こえない振りをして、ズカズカと廊下を歩いていった。
「おい、天野、忘れ物」
大好きな人の声が聞こえて瞬時に振り返ってしまう。なんてちょろい女だ。
「なんですか…これ?」
「プリント。お前小テスト1桁だろ。原野、先戻ってろ」
一瀬先生の手には、3枚のプリントがある。絶対に貰いたくない。
「いっいらないですっ」
「いらない?じゃあお前次のテスト絶対赤点とんないんだな?補講開かないから、赤点とったら留年だぞ。」
「いっいじわる!ッ…!」
言葉を放ったと同時に強い力で壁に押し付けられた。結構痛いぐらいに。
「いじわる?俺は優しさでお前にプリントを渡そうとしてるのになぁ」
少女漫画でよくある壁ドンは、想像よりも一瀬先生の顔が至近距離でもう鼻血出そう。
これは…キスされるよりも緊張するかも…。、すっごい見つめられるし。
「っぁ…!?」
一瀬先生をじっと見つめていると、襟元に手を伸ばされた。どうやら制服の中に隠してつけてたネックレスを引っ張り出したようだ。
「お前、これ外すなよ。」
「外さないですよ!というか、お風呂と寝る時以外ずっとつけてます!」
そこまで言い切ると、手で押していた壁を肘まで壁にドンした。一瀬先生とはもうキスしちゃいそうな距離である。
「俺のだから。」
一瀬先生のその言葉は、誰もいない廊下に響き渡った。