大好きな人とお別れしたのは、冬の朝でした


キッチンから彩絵がティーカップを運んでくる。

「カナダ土産のメープルクッキーよ」
「ありがとう」

ひと口紅茶を飲むと、また彩絵が聞いてきた。

「その人、うちの病院にきてくれるの? 今どき、婿養子にきてくれるなんて珍しいんじゃない?」
「そこまでは確認していないけど、次男さんだからかな? 今は大学病院にお勤めらしいわ」

淡々と話す詩織に、彩絵は不服そうだ。

「詩織ってば、ちっとも嬉しそうじゃあないのね。写真見たんでしょ?」
「だって、断られるかもしれないのにお見合いが嬉しいってことないんじゃない?」
「詩織を断る人なんていないよ。結婚するかもしれない人ってことは私の義理の弟になる人ってことよね?」

彩絵は自分がお見合いするみたいに、ワクワクと楽しそうだ。
詩織は、だんだん切なくなってきた。
瞬と結婚するかもしれない人を前にして見合いのことを考えているなんて、内緒で会っていた罰なんだろうかとさえ思う。






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