ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 ダレンを先頭に海に入っていく。歩みを進めるにつれ、ふふ、と小さな笑いがシアの口から漏れた。

「どうした?」
「くすぐったいな、と思って」
「ああ、波か――そうだな、くすぐったい」

 馬鹿なことを言ってしまったのではないかと思ったけれど、エドも笑ったのでほっとした。

(……今は、そんなことを考えている場合じゃないのに)

 不思議なことに、水の感触は肌をなでていくのに、身体は全く濡れていない。これが、人魚の魔術ということか。
 慎重に足を進めて、海の中に入っていく。膝、腰、胸――ここまでは問題ないけれど、頭まで入ったら、息ができるのだろうか。
 顎のあたりまで水が来る。もう一歩進んだら、口も水に入ってしまう。先を行くイドリスは、まったく気にしていない様子でずかずか進む。

「ほら」

 シアが立ち止まってしまうと、エドが手を差し出した。ちょっと迷ってからシアは、彼の手に自分の手を重ねる。

(怖がってるの気づかれてた……)

 エドの手は力強い。ぎゅっとシアの手を包んでくれる彼の手は、シアを安堵させてくれる。もう一歩踏み出した。
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