ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
第五章 こんな穏やかな日が続けばいいのに
離宮に戻ってきたのは、出発してから一週間後のことであった。まさか、一週間もここを離れることになるとは思ってもいなかった。
 出発前に庭師に頼んでおいたから、離宮前の薬草園も裏の家庭菜園も、枯れることなくシアの帰りを待ってくれていた。

「シアお姉様、シアお姉様っ!」

 離宮に戻ってきた翌日、さっそく訪れたのはアンセルムである。彼の手には、シアがお土産に買ったカップがあった。

「お土産、ありがとうございます! 兄上からいただきました!」

 シアが直接渡してもよかったのだろうけれど、しばらく顔を合わせる機会はなさそうだからとエドに託した。
 帰宅した翌日、ここまで来てくれるとわかっていたら、自分の手で渡したのに。

「兄上もシアお姉様も、大冒険だったんですね!」

 こちらを見るアンセルムの目がキラキラとしている。
 たしかに、大冒険と言えば大冒険だった。両国の境に発見された遺跡は、これから調査と研究が進められることになっている。
 遺跡に残されていた魔道具は、今の技術ではとても作ることができないらしく、両国で研究チームが組まれることも決められた。

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