ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
第六章 これが恋だと知らなかった
ヨアキムからの忠告は、ごく当たり前のものとしてシアには受け止められた。

(そうよね、とっくの昔に気づいてなきゃいけなかったんだわ)

 シアが側にいたらろくなことはならないと、もっと早く気づくべきだった。そうしたら、ヨアキムに余計な気を回させることはなかっただろうに。

(……やっぱり、ベラさんのお店の三階に引っ越しすべき?)

 ベラの店は、三階が空き部屋だ。
 離宮で暮らす聖女シアとポーション職人のシアが同一人物であると知っている人は知っているが、公にはされていない。〝ポーション職人のシア〟は、ベラの店に住んでいることになっている。たぶん、頼めば相応の家賃で住まわせてくれるだろう。
 そもそもこの国に来た理由もなくなった。
 元母国は、女神の加護を受けるためにこの国の一部となっている。元国王は公爵の地位を得て、今は公爵領となった元王国を治めている。
 元家族や元婚約者の企みによってこの国に送られたシアだが、彼らとの縁は完全に切れている。
それなら、ヨアキムの言うように、これ以上エドとは近づかないようにした方がいいのかもしれない。

「シア、そろそろお客さんが来る頃合いだよ?」
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