ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 ああ、ヨアキムは鋭い。エドは内心で嘆息する。気づいていないふりをしているくせに、こういう時はしっかりと釘を刺してくるのだ。

「あなたにとっては、女神同然の存在でしょう」

 シアがいなかったら、さほど遠くないうちに命を落としていた。
 この国が、魔女に乗っ取られていたかもしれない。それを未然に防いでくれたのはシアだ――だけど。

「あの方はいけません。国内の貴族の反発が大きすぎます。たしかに、聖女というのは大きな後ろ盾となるでしょう――ですが」

 シアではだめだ、とヨアキムは言外に告げる。

「――それに、そもそも先方のお気持ちは確認しているのですか?」

 と、続けられた言葉に、エドは呻いた。それが一番の問題だ。
 シアとの関係はまだ〝友人〟。そもそも、シアがその先に進んでもいいと思っているかどうかさえわからない。

「当たって砕けて――それからなら、考えてもいい」

 あまり長い時間はかけられないということを、ヨアキムの視線から察する。まだなにか続けようとするのを、手を振って押しとどめた。
< 191 / 302 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop