ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
 シアにまで目は届かなかったし、元婚約者の暴走を止めることもできなかった。でも、セアルド公爵個人には悪い印象はない。
 セアルド王国をガラティア王国の一部に――なんて、普通では考えつかないではないか。
 元国王の養女となれば、血筋がどうこうと言っていた貴族達も、口を閉ざさざるを得ない。

「というか、むしろセアルド公爵をおとなしくさせておくのにちょうどいいという話もしておきました」

 今はおとなしくしているが、旧セアルド王国は、かなりの大国であった。ガラティア王国を小国と侮ることができるほどに。
 セアルド公爵をおとなしくさせておくには、彼の身内を取り込んだ方がいいのではないかとヨアキムは圧力をかけて回ったらしい。
 敵同士だった両国の結びつきを強くするためにも、シアとエドが結婚するのは必然だとも主張したそうだ。

(手段を選ばないというか……)

 シアに対するヨアキムの態度は変わったわけではないものの、一応、エドの妃として認めてくれつつあるようだ。

「陛下のお言葉も、あと押ししていると思いますよ」
「聖女がよその国に流出する方が問題だって言ってやっただけだけどな」

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