ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「僕が言いたかったのは、そういうことじゃないんだけどな!」

 ふと目をやれば、冒険者組合の前に連れてこられたグリフォンが、エドの頭をつついていた。

「――また、お前か! 俺の頭を齧るな!」

 エドに手で振り払われてもめげずに、嘴を開いてかぷっと噛みつく。甘噛みなので痛くはないだろうが、食べられそうで見ているこちらはちょっと怖い。

「グリフォンがそれだけ懐くのなら、悪い人じゃないんだろうな。それなら、まあいいけどさ」

 と、イドリスはその様子で納得したようだった。なぜだ。
 今回用意されたグリフォンは、三頭である。エドとシアで一頭、ヨアキムが一頭、シャーミルとイドリスで一頭。

「俺もシアと一緒に乗りたい! いいだろ?」
「だめです」

 ぴしゃりとシャーミルとヨアキムの声がそろった。このふたり、気が合うのかもしれないと密かに思う。

「なんで? シアと一緒の方がいいだろ?」
「なにかあった時、シャーミル殿には、イドリス様を連れて脱出してもらわなければなりませんからね。エドにはシアさんを連れて行ってもらって、俺が足止めです」

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