最大限に

暗闇の中から救い出してくれたのは
君だったけど

君を先の見えない暗闇に堕としたのは
私だったのかな。

私を救い出してくれた「愛」は
君を縛って

私の言う「愛してる」は君を縛り付けて

いつの間にか君の言う「愛してる」は

願うように言う「愛」は

口癖のように言っていた「愛」

呪いに変わっていったみたいだった。

確かめるように抱きしめあった夜も

愛し合っていたはずの夜も

楽しいはずなのに寂しくて

一緒にいるはずの夜も
1人のような気がして

横にいるはずなのに掴めなくて

まるで掴めない星に手を伸ばしてる様で

今のこの日々が流れ星のような
一瞬の瞬きになる気がして

君を何かで繋ぎ止めておきたかった。

私の全てで掴んでおきたかった。

めくるめく変わるこの世界で

皆が私を置いていってしまうこの世界で

変わらず唯一愛してくれる君に縋っていた。

変わらない君を
私の為に変わらずにいてくれる君を

信仰していた。

君は優しいから私を救った
責任を果たそうとしてくれるけど

君は悲しい程に優しいから

人の為に生きている君は

私の元へ居るべきではないから。

私は君を痛めつけるだけだから。

私はもういいから。

私はもう十分だから。

十分過ぎる程に君を縛ったから。

君の透明で何者でも透す硝子玉の瞳が
曇る前に

私で曇らせてしまう前に
君の大事な人の元へ行ってあげて

君の弱さを知って私のように縋らないで
隣を歩いて支えてくれる人。

君の大事な人。

全て汚してしまう前に

手遅れになってしまう前に

「大嫌い。」の裏に隠した
ごめんを君に伝え

君に願いを。

どうか君が「君の幸せ」の為に
生きられますように。

どうか君が嘘をつかなくても
生きていけますように。

最大限のエゴで祈るよ。









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