離婚前提から 始まる恋
「お疲れ様です」
「おつかれ」

昼の1時過ぎに会社へ顔を出すと、里佳子ももう出勤していた。

「今日は休めって言ったのに」
「お互い様です」

まあ、確かにそうだが・・・

「少しは自分のために時間を使えよ」
仕事漬けになっているのは俺のせいでもあるんだなと思いながら、余計な心配を口にした。

「副社長こそ、奥様孝行なさらなくていいんですか?」
「それは、まあ・・・」

ここ最近は仕事が忙しくて一緒に週末を過ごすこともままならないのに、奥様孝行なんととんでもない。
そう言えば、そのことについて花音は何の文句も言わないなあ。
忙しい実家のお義父さんを見て育ったからか、俺に興味がないのか、どちらにしても内にため込んでしまう性格だから心配だ。

「奥様、何か言っていました?」
「え?」

意味が分からず里佳子を振り返ると、何か言いたそうな顔。

「お前、何かしたのか?」
大学時代からの知り合いの里佳子には俺も遠慮がないし、里佳子も仕事を離れればため口でズバズバとものを言う。
そして、こいつは時々花音に意地悪をする。

「別にたいしたことじゃありません。向こうに行った日の夜、副社長が会議で忙しい時間に奥様から電話があったので、出られませんって断っただけですよ」
「お前・・・」

どうせきついことを言ったんだろうな。
花音、かわいそうに。
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