離婚前提から 始まる恋
「勇人は仕事が忙しそうだったから、邪魔したら悪いなと思って連絡しなかっただけ。別にやましいことをしていたわけじゃないわ」
「それでも、電話かメールの一つくらいは欲しかった。帰って見たら部屋が真っ暗で花音の姿がなかった時の、俺の気持ちを考えてもみろ」
「私だって、いつ帰ってくるかわからない勇人を毎日待っているわ。それに、勇人だって私の気持ちを考えたことがあるの?」
おかしいな、酔っぱらったわけでもないのに余計な言葉がすらすらと出てくる。

「どういう意味だよ」
「じゃあ言わせてもらうけれど、久しぶりに夫婦が愛し合った朝、目が覚めた時に隣でよその女とメールのやり取りをしている旦那を見た妻の気持ちが勇人にわかる?」
「あの時は仕事が・・・」
「仕事はベッドでするものじゃないはずだわ」
「それは・・・」

多分、我慢の限界だった。
今まで溜まっていた不満が限界を迎え、言葉と共に涙が込み上げてきた。

自分なりに精一杯いい奥さんになろうとしたし、2人で過ごす時間は楽しかった。
たとえ勇人の心が私も元になくて、側にいられれば幸せだと思っていた。
それでも、チラチラと見え隠れする里佳子さんの影が怖かったし、今日のように二人の親しげな様子を見ると気持ちも沈んでしまう。
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