離婚前提から 始まる恋

「離婚するのか?」  Side勇人

週末、花音の実家に行ったものの仕事のトラブルで呼び戻され、予定されていたパーティーに出席することもなく帰京した。
もちろん不本意ではあったが、花音をはじめ家族のみんなが心配して言ってくれているのはわかったから素直に従った。
それに、最近食欲もなく顔色も悪い花音をしばらく預かってもらいたいとお願いするつもりでいたから、切り出すいいチャンスにもなった。
そのことに対して不満そうな顔をした花音だったが、そこは強引に押し切るしかない。

「ただいま戻りました」
「ああ、お帰り」

土曜日のうちにこっちに戻ったおかげで、週末は仕事に専念できた。
香港のトラブルも大事にならずに済んだし、日曜日は里佳子も休日をとることができた。
俺も昨日は一日マンションで仕事を片付けて、おかげで午後から使う大事な書類を自宅に忘れてきてしまった訳だ。

「すまなかったな。すぐにわかったか?」

さすがに会社を空けるだけの時間もなく、だからと言って諦めることもできず、仕方がないから里佳子にマンションまで取りに行ってもらった。
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