離婚前提から 始まる恋
都心から少し離れたところにある杏さんのアパート。
駅からすぐで立地は悪くないし、建物自体も新しい。
5階建ても3階と聞いた俺は、まっすぐに部屋まで上がった。

チャイムを鳴らすと、
「はーい」
すぐに聞こえてきた返事と共に、ドアが開いた。

「あの、三朝勇人と申しますが、花音がお邪魔していますでしょうか?」
「え、ああ、はい」
まさか俺が現れると思っていなかったらしく、動揺が見て取れる。

「どうしても花音と話がしたいんです。悪いけれど、呼んでもらえますか?」
「・・・わかりました」

杏さんは一瞬困ったなって顔をしてから花音を呼びに行った。
しばらく部屋の中から話声が聞こえていたが、きっと花音は出てくるだろう。
もし出て来なければ、上がり込んででも花音と話す覚悟で俺はここに来た。
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